認知症進行の要介護度と関係の深い要因の抽出を目的の相関分析研究


1. 目的

認知症進行度を測る要因の抽出の前段階として、要介護度と関係の深い要因の抽出を目的に、相関分析を行った。本研究では、要介護度にはどのような要因が関係するのかを調べた。

2. データ

データには、要介護状態区分・日々のバイタルや様子・性別と年齢・家庭環境や疾患・服薬情報・趣味の種類といった、計89項目に関する、246件のデータを用いて分析を行った。

データの種類

対象となるデータには以下の3種類のデータが含まれる。

カテゴリデータ
質的データのうち順序のないもの。性別など。
順序データ
質的データのうち順序のあるもの。要介護状態区分など。
数値データ
量的データのこと。身長・体重・年齢など。

3. 分析方法

要介護状態区分と各項目の相関係数を計算し、相関が強い項目を抽出する。その中から、因果関係があると考えられる項目を選び出し、詳細に分析を行う。

具体的には、

  1. 相関係数を計算
  2. 相関係数の有意性を統計的に検定
  3. 散布図(カテゴリ・順序データの場合はモザイクプロット)を図示

の手順で詳細な分析を行った。

数値データどうしの相関の指標には一般的にピアソンの積率相関係数が用いられることが多いが、本研究では目的変数(要介護状態区分)が順序データであるためスピアマンの順位相関係数を相関の指標とした。

4. 分析

最高血圧と要介護状態区分が、統計的有意な相関を示した。

相関係数は-0.21で、有意水準5%で統計的有意
散布図でも負の相関が認められる

5. 結論

最高血圧と要介護状態区分の間には弱い負の相関が認められた。これは直感には反するが、興味深い発見であるように思われる。

右手の握力・食事量・失禁の頻度などのいくつかの項目は要介護状態区分と高い相関を持つことが確認されたが、「要介護状態区分が高い→右手の握力が弱い」というような逆向きの因果関係から生じた相関であると考えられる。

6. 今後の展望

より多くのデータを用いて、最高血圧のように弱いが確かに相関があるような項目を複数発見することができれば、それらを組み合わせて要介護度が何に左右されるかをより正確に説明することができるようになることが期待できる。

また、特定の個人の長期にわたるデータがあれば、認知症進行度を測る要因を抽出することができるようになるだろう。

 

これらの研究は、まだ始まったばかりで現在もたくさんのデータをAI(人工知能)を活用して、さらなる研究をしております。

一般社団法人認知症カフェ協会

理事長 岸秀之

 

こちらでも公開しております。

株式会社MOXIMO(モキシモ)

 

【共同研究団体】

株式会社きしメディカルサービス
株式会社MOXIMO
一般社団法人認知症カフェ協会

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